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「ビッグゲーム 大統領と少年ハンター」見たよ


ヘルシンキに向けて飛行中のアメリカ大統領専用機エアフォース・ワンが、テロリストの地対空ミサイル攻撃を浴び、フィンランド北部の人里離れた山岳地帯に墜落した。緊急脱出ポッドに避難したアメリカ大統領は、森の奥深くに着地して一命を取り留めるが、ポッドの位置を見失ったワシントンD.C.国防総省は救助隊を送り込むことができない。山に身を潜めていた武装テロ・グループは、すかさず孤立無援の大統領を捕獲しようと“地上最大の狩り”を開始。もはや絶体絶命と思われた大統領に救いの手を差しのべたのは、シカ狩りをしていた狩人の血を引く13歳の少年ハンターだった…。全てを失った大統領と少年ハンターの究極のサバイバルがいま始まる…。

ビッグゲーム 大統領と少年ハンター 映画作品情報 - シネマカフェ


高いセキュリティに守られていたはずのアメリカの大統領専用機が、テロリストと内通していた側近の暗躍によって防衛システムがすべて無効にされてしまいミサイル攻撃であえなく撃墜。大統領はミサイルに撃たれる直前になんとか緊急脱出用のポッドで避難するものの、山の中に着陸したために守ってくれる人がだれもいないまま内通者やテロリストたちに追われることになって....というお話です。

そんな心細い状況で大統領が出会ったのが一人の少年オスカリ。

オスカリは狩猟を生業とする部族の一人なのですが、そこの習わしでは13歳になる日の夜に森へ一晩こもって狩りをしてその晩に狩った獲物を自慢する獲物を狩れたらいっぱしのハンターとして認められることになっています。そして大統領とオスカリが出会ったその日はなんとオスカリ12歳最後の日でしてちょうどハンターとして認めてもらうための狩りのために森にひきこもっている日だったのです。

ところが、残念ながらオスカリはまだハンターとしてはとても未熟で弓さえ十分に引けないくらいのへっぽこです。

オスカリのお父さんは13歳のときに熊を倒して見せたという伝説の剛腕ですが、その息子であるオスカリは背は小さくて腕力も十分ではないため、部族のおえらいさんも「こいつにはまだ無理だから止めさせた方がいいよ」と思わず言ってしまうほどのか弱さです。

だからとてもテロリストたちから大統領を守れるほど強いわけではないし、そもそもオスカリ本人に「大統領を守ってやるぞ!」という気持ちがほとんどありません。

助けを求められている手前、大統領と行動はともにしているものの、彼の頭の中は狩りで獲物をゲットできるかどうかでいっぱいいっぱいなのです。

部族の人たちから「こいつにはこの試練は無理だろう」と思われていることは嫌と言うほどわかっているし、自分の力量不足は彼自身が一番よくわかっています。それでも自分が失敗することで父親の名に泥を塗りたくないし、できることなら大物を仕留めて父親に認められたい、褒められたいとそのことばかりを考えているのです。


対するテロリストたちは武器も腕力も人数もそろっていてもてる力を総動員して大統領を狙ってくるわけですから、これはもうとても大統領側に分の悪い勝負になることは明白ですし、実際に映画の中でもあっという間に大統領が追いつめられてしまいます。

武器もない、護衛もいない、助けてくれそうなのはハンター採用試験を受験中の13歳の男の子だけという絶望的な状況でしたが、そんななかで起きたオスカリと大統領のあるやりとりをきっかけに物語は一気に動き出します。まったく頼りなかったオスカリが、いざ覚悟を決めて戦うことを選んだところから、まるで賢さと強さを兼ね備えたベテランのハンターのようにどんどん決断を繰り返して窮地を切り抜けていきます。そしてその様がもう見ていてとても気持ちよかったです。

中盤からラストにかけてちょっと演出が過剰だなと感じる部分もありましたけど、あれはあれで個性というか作品の色としてとらえられる程度でした。

なんとなく続編も作れそうな終わり方でしたし、もしヒットしたら続きがありそうですね。


@MOVIX宇都宮で鑑賞

「ジュラシック・ワールド」見たよ



(注意) 本エントリーには作品の結末に関する言及もあるので未見の方はご注意ください。


スターウォーズに続く「有名過ぎてまだ観たことないと言いにくい映画」シリーズ第2弾はジュラシック・パークです。


ジュラシック・パークはわたしが高校生になった年*1に公開された作品ですが、当時映画にはまったく興味がなかったわたしは完全にスルーしてしまいました。近くに映画館もなかったのでどのくらい人が入っていたのかはわかりませんが、周りの人に「ジュラシック・パークって観たことある?」と聞くとほぼ100%の人が観たことがあって、うち7割くらいがリアルタイムで映画館で観ているという現実を直視するとかなりの割合の人が興味をもって映画館に足を運んだであろうことが想像できます。

しかも普段さほど映画を観ていない人もそんな感じなので、「わりと映画をよく観ている人」というポジションに据えられているわたしが映画館どころかDVDですら「ジュラシック・パーク」を観ていないというのはとても言いにくいです。
だってジュラシック・パークの好き嫌いが話題にあがるときって、「ジュラシック・パーク観たことある?」という観たことのあるなしの質問じゃなくて「ジュラシック・パークのシリーズだとどれが好き?」という"とりあえず全部観ていることが前提"として、その上でどの作品が好きなのかという方向に話が進むことが多いので、もういまさら観てないとかめっちゃ言いにくいです。

それでもジュラシック・パークの話題はスターウォーズについて会話することに比べるととても気軽というか、たとえばスターウォーズについて「シリーズをとおして一度も観たことがない」と何となく口にしてしまったせいで「とりあえずDVD全部貸すから観ろ!順番は4から...」と言われたことは両手で足りないくらいありますが、ジュラシック・パークについてはそういう経験は一度もありません。

やはりファンの熱烈度というかコアなファン層の厚さは圧倒的にスターウォーズなんだろうなと思うわけですが、そもそもなんでこんな話を書いてるのかちょっとよくわからなくなってきました。

そうそうジュラシック・パークのお話でしたね。


上でも書いたとおりシリーズをとおして一作品も観たことがなかったのでこの「ジュラシック・ワールド」も余裕でスルーする予定でしたが、観た人の評判がとてもよかったので観てみたくなって観に行ってきました。


まずは映画を観ての感想はというとこれはもう文句なしにおもしろかったです。


冒頭、セリフ等の説明・前置きをいっさいせず始まってすぐにジュラシック・ワールドという場所に送りこまれる2人の少年ザックとグレイ。ジュラシック・ワールドが人気のテーマパークのようなものだということは分かるのですが、そこに行くことになった経緯だとかそのテーマパークがどういう場所なのかということは何も告げられず、そもそも二人のキャラクターがはっきりすることもないままにジュラシック・ワールドへと旅立つことになるのです。

おそらく物語の性質上、「とにかく恐竜たちがいる場所に行かないことには何も始まらないし始められない」ということなんだと思いますし映画の尺的にもあまりごちゃごちゃと説明している暇がなかったのかも知れませんが、それにしたってあまりの強引さにはのっけから吹き出しそうになりました。

それでも、恐竜たちが当たり前のように暮らしているといういままで観たこともなかった世界がそこには広がっていて、そんな世界で生きている人たちや恐竜たちがとてもリアルに描かれていてすごく興味を惹かれました。抑揚をもうちょっと付けてくれたらさらに盛り上がったような気もするのですが、でも常に次の展開が気になってしょうがないくらい楽しませてもらったし140分というちょっと眺めの上映時間もあっという間でした。


あとは最後の最後でそれまでほとんど活躍の場がなかったT-REXがいい感じに絡んできたし、そこでの活躍やラストシーンでの格好いい咆哮シーンもあってまるで「T-REX大活躍!」みたいな印象を残していたのがすごく笑えました。あんなちょっとしか出てないのにすごい存在感。


ものすごくおもしろかったのでぜひ過去の作品も観てみたいです。どこかの劇場でオールナイトでぜんぶ流して欲しい!


@MOVIX宇都宮で鑑賞

*1:うろおぼえですがなんか話題になってたような記憶があります

「ミニオンズ」見たよ


人類が誕生する遥か昔、黄色い生物としてミニオンは誕生した。長い年月をかけて進化しながら、絶え間なくその時代の最も強いボスに仕えてきた。Tレックスからナポレオンなどあらゆるボスに仕えてきたが、失敗ばかりで長続きしない。やがて仕えるボスがいなくなり、ミニオンたちは生きる目的を見失ってしまう。ミニオン滅亡の危機が迫る中、兄貴肌のケビン、バナナのことで頭がいっぱいのスチュアート、そして弱虫のボブが仲間たちを救うべく立ち上がった。極寒の南極からニューヨーク、そして流行の最先端を行くロンドンへ――新たな最強最悪のボスを探しに、ミニオンズの壮大な旅が始まる。

ミニオンズ 映画作品情報 - シネマカフェ

本作の主人公であるミニオンは、怪盗グルーシリーズでグルーの手下として登場したところ主人公のグルーを差し置いてものすごい人気者になってしまったというちょっと変わったキャラクターです。


ちなみに、怪盗グルーは過去2作公開されているのですがそのどちらも映画としてはいまいち好きにはなれませんでした。
と言ってもぜんぜんいいところがなかったというわけではなく、3D映像はすごくよかったしミニオンたちを含むキャラクターはとても魅力的だったのですが映画としては面白味に欠けるというかちょっと残念な作品だなという印象を受けました。

そんな映画としてはいまいちだった怪盗グルーシリーズですが、そこに出ていた赤ちゃんのように無邪気で欲求にまっすぐなミニオンたちがわらわらと集団行動をするさまがとてもかわいらしくて見ているだけで笑顔になってしまうのです。

黄色くてそこそこの知能があってバナナが好きでよくわからない言葉を話す以外の情報がなにもないのにその愛らしいキャラクターがうけてしまって人気者になったミニオンたち。本作はそんな彼らの出生の秘密やグルーの部下になるまでにどんな生活を送ってきたのかを描いていて、ミニオン好きにはたまらない内容でした。

「まさかミニオンがあんな昔からいたなんて...」と出だしから思いっきり笑わされたのですが、過去のシリーズに出ていたときと変わらず自然体で好き勝手振る舞う奔放さには終始ニコニコさせられっぱなしでした。

というか、よく考えたらミニオンたちってほとんど何を言ってるのかわからない*1のでほとんどがミニオンたちの表情やしぐさ、あとは周囲の人の反応からミニオンたちの考えを推測しているわけでして、つまりセリフによる説明ってほとんど無いに等しいのです。

言葉ではなくスクリーンに映し出された情報だけでミニオンたちのやっている内容やその意図を伝えてしまえるその説明力の高さにはあらためて感心しました。「ひつじのショーン」もそうでしたが、言葉ではなく画から伝えるのってすごいことだと思います。

とにかく最高におもしろくていままでよりももっとミニオンたちのことが好きになりました。


そして本編はもちろん最高なのですが、それ以上にエンドロール後のおまけがかなりすばらしいです。
とくに3Dで観た人はぜったいにこのおまけを観てから劇場をあとにすることをおすすめします。3Dで観てあのおまけを観ずに帰るのはかなりもったいないです。最高の3D映像体験ができるので場内が明るくなるまで座って楽しんでください。


@MOVIX宇都宮で鑑賞


(関連リンク)

*1:本当にたまになんですが類似の単語と似たような発音をして聞き取れる部分もあったりしてそれはそれでびっくりさせられましたw

「バケモノの子」見たよ


この世界には、人間の世界とは別に、もう1つの世界がある。バケモノの世界だ。人間界【渋谷】とバケモノ界【渋天街(じゅうてんがい)】。交わるはずのない2つの世界に生きる、ひとりぼっちの少年とひとりぼっちのバケモノ。ある日、少年はバケモノの世界に迷い込み、バケモノ・熊徹(くまてつ)の弟子となり、九太(きゅうた)という名前を授けられる。その偶然の出会いが、想像を超えた冒険の始まりだった――。

バケモノの子 映画作品情報 - シネマカフェ


予告を観てどんな話なのかさっぱり予想できないまま観に行ったのですが、魅力的な登場人物とわかりやすくシンプルに物語が組み立てられたよい作品でした。とくに登場人物は見た目にも声にも個性が感じられて個々のキャラクターが際立っている点に心底感心しました。

なかなかおもしろかったです。


両親が離婚して母親といっしょに暮らし始めたものの母親と死別してしまったことをきっかけにひとりで生きていくことを決意する九太*1。とは言え、9歳の子どもがひとりで生きていくのは容易ではなく、渋谷の街をフラフラしていたときにチコというちいさな生き物に遭遇します。

このチコは微妙に実在の動物っぽくないし結局最後までなんなのか説明がされないのですが、これって死別した母親が絡んでいるんじゃないかなと思ったんですがどうなんでしょうね。作中で何度か母親が出てくるシーンがあるのですが、その前後だけはチコが出てこないし、そもそも九太以外が誰もチコに気付かないのもすごく気になります。

チコが九太以外と絡んだのってラストバトルのところで楓にキャッチされたところだけじゃないでしょうか?パンフとかにそういう情報書いてたら読んで観たいです。


話を戻しますが、チコと出会ったあとは行く場所もなく駐輪所でうずくまっていた九太を人間界に来ていた熊徹が見つけ、声をかけたことをきっかけに九太は熊徹たちが住むバケモノの世界に足を踏み入れることになるというのが物語の序盤の流れです。


唯一の肉親と別れて人間の世界には居場所がなかった九太は、そこから8年ものあいだバケモノの世界での生活を続けてじょじょに熊徹たちと仲を深めていくのですが、ここのくだりは流れる時間の長さに比べるとかなり簡単に描かれていたものの観ていてとてもワクワクしました。

むかし、小さな子どもを見ているときに「ほんとうにこのちっこいやつが大人になるんだろうか?」なんて思ったことがあるのですが、その後ひさしぶりに会ったときにあまりに身長も顔も成長していてちょっとビビったことがあります(笑)

男子三日会わざれば刮目して見よなんて言葉もありますが、時間が経過することで老いて衰えていく大人とは対照的に、時間が経過すると子どもは成長していくわけですからどんどん両者のあいだにある差は埋められていくわけです。本作のこの一連のシーンはまさにそんな両者の力量差がどんどん埋められていく様子が描かれていて観ていて興奮しました。


で、17歳になった九太はちょっとしたきっかけで人間の世界へと戻ることになって...というところで話が大きく動き出すわけですが結末までの流れもすごく自然だったし次の展開が気になるくらいに物語はおもしろかったので最後まで楽しく鑑賞できました。


ここからは個人的にいくつか気になっているところがあるのですが、思いのたけを書いてすっきり消化したいというほどの熱意もないので割愛します。あまり細かいことは気にせずに作品の世界観と魅力あふれる個性的なキャラクターたちを存分に楽しんだ方がこの作品を満喫できると思います。


@MOVIX宇都宮で鑑賞

*1:実際は蓮という名前なんですがどちらなのか分かりにくくなるので九太で統一します

「ひつじのショーン 〜バック・トゥ・ザ・ホーム〜」見たよ


好奇心旺盛なショーンはイタズラが大好き。見張りの牧羊犬・ビッツアーの制止もよそに、仲間の羊たちと今日も大騒ぎ! アカデミー賞受賞作『ウォレスとグルミット』シリーズに登場する人気キャラ・羊のショーンが主人公になったクレイアニメ

ひつじのショーン 映画作品情報 - シネマカフェ


他者に伝えたいことがあるときにもっとも使われるコミュニケーション手段は「言葉」だと思います。

相手に伝えたいことを「お互いが認識できる言語」に置き換えて話す、もしくは文字として書き起こして読んでもらうことが、もっとも過不足なくそして誤解なく必要な情報を相手に伝えることができると考えています。

ただ、じゃあ言葉を介したコミュニケーション手段であれば思ったことを完全に伝えられるのかというとそうではないし、むしろ「言葉で伝えれば齟齬なく伝わる」という思い込みをもってしまうことはとても危険だと思っています。言葉がもっとも便利なコミュニケーションツールであることはまちがいありませんが、言葉の万能性を過信して依存し過ぎないようにということは常に心がけています。


いや、心がけていたつもりだったのですが...といったところでさて本題。

今回見てきた「ひつじのショーン」ですが、毎週土曜日の朝にNHK教育で放送されているクレイアニメーションです。
もともとわたしはまったく興味がなかったのですが、子どもたちが「おさるのジョージ」とこれをすごく楽しみに観ていたのでつられて見るようになったのですが、これがもうものすごくおもしろいのです*1


そんな大好きな「ひつじのショーン」が映画化されるということを知ったときに「大スクリーンでショーンを観られる!」といううれしい気持ちと「セリフのないクレイアニメを90分間も楽しめるのか?」という不安な気持ちでいっぱいでした。

とくに後者の「セリフのないクレイアニメーションを90分も観てられるのか?」という点はすごく気になっておりまして、ふだんの4倍以上の上映時間となるとさすがに間がもたないんじゃないかと心配していたのですが観たらもう完全に杞憂でして、普段とはちょっと違うショーンやビッツァー、そして牧場主の姿が見られて90分まったく飽きずに見ることができました。


そもそも、わたしは「セリフがないまま90分話を見ていても楽しめるのか?」という点を心配していましたが、それってセリフや言葉による説明がない状態がずっと続くことに対する不安だったと思います。「説明がないことで話をちゃんと追い切れないんじゃないか?」とか「ショーンたちの心情の機微に寄り添えないんじゃないか?」ということを気にしていたと思うのですが、普段からテレビでショーンを見ているわたしがそんな心配をすること自体おかしいことにもっと早く気付くべきでした。

ショーンたちやビッツァーたちはたしかに言葉は話しませんが、彼らの表情や行動を見ていれば何を考え、目の前で起こっていることに対してどう考えているのかということは容易に想像がつきます。そのくらい画面からは彼らの気持ちが伝わってくるし、それは言葉で説明されるよりもたくさんの情報が込められています。


牧場主たちを眠らせるシーンのベタな演出*2もすごく好きだし、ショーンが悲しくて涙を流すというたいへんめずらしいシーンではショーンといっしょになってショックを受けて泣きそうになりました。あとはショーンとビッツァ―が抱き合っていっしょに喜ぶラストシーンは二人(二匹?)と一緒になってワーワーと喜んじゃたし、犬(スリップ)が別れを告げている*3の手紙をショーンが読むシーンではスリップの切ない心情が伝わってきてグッと胸が苦しくなりました。

言葉はたしかに便利なコミュニケーションツールだけれど、感情を伝える手段としては、言葉よりも「表情」や「いたたずまい」、「行動」を見た方が伝わりやすいんだということをあらためて思い知りました。


これはもうふだん「ひつじのショーン」を見ていない人にもぜひ見て欲しいすばらしい傑作です。


@MOVIX宇都宮で鑑賞

*1:ちなみに「おさるのジョージ」もすごくおもしろいです

*2:羊たちが繰り返し繰り返し目の前で柵をジャンプして超えて見せると見ている人が眠くなるというシーンですw

*3:手紙の内容に関する説明がまったくないのであくまで想像ですが(笑)

「アリスのままで」見たよ


50歳のアリスは、まさに人生の充実期を迎えていた。高名な言語学者として敬われ、ニューヨークのコロンビア大学の教授として学生たちから絶大な人気を集めていた。夫のジョンは変わらぬ愛情にあふれ、幸せな結婚をした長女のアナと医学院生の長男のトムにも何の不満もなかった。唯一の心配は、ロサンゼルスで女優を目指す次女のリディアだけだ。ところが、そんなアリスにまさかの運命が降りかかる。物忘れが頻繁に起こるようになって診察を受けた結果、若年性アルツハイマー病だと宣告されたのだ。その日からアリスの避けられない運命との闘いが始まる──。

アリスのままで 映画作品情報 - シネマカフェ


ある日、ひとりで街をぶらぶらと歩いていると前から妻と子どもたちが歩いてきました。

まったくこちらには気付いていない様子だったので「みんなでどこに行くの?」と声をかけたのですが、みな一様に怪訝そうな顔をしながら目をそらして避けて素通りされてしまいました。なにか怒らせるようなことをしたのかと焦る気持ちが半分、なぜ気付かないんだろうと怒りたくなる気持ちが半分。

すぐにわたしは3人を追いかけて「なんで無視するの?」と声をかけるのですが、こわばった表情の妻が「やめてください!」と大声を出して子どもたちが泣きだしてしまいます。周囲の人たちは「母子に声をかけている不審者がいる」という目で、妻と子どもは怯えきった目でわたしを見つめます。


「おれだよ、なんで分からないの?」


そんな言葉をくりかえしくりかえし妻と子どもたちに投げかけるのですが、彼女たちがわたしを見る目はまったく知らない他人を見る目でしかなく、なんどもなんども呼びかけても伝わらないことに疲れてしまったわたしは不意に「本当にこの人たちはわたしが知っているわたしの家族なんだろうか」ということを考え始めてドキドキしたところでいつも目が覚めます。


これはわたしがよく見る夢でして、シチュエーションや出てくる人には多少バリエーションがありますが「自分が身近な人から忘れられてしまう」という点が共通しています。この夢をみた日の朝は最低の気分でして、その日一日を低いテンションで過ごすことになります。


なんでこんな夢をよく見るのか考えたことがあるのですが、おそらく「忘れる」「忘れられる」ということに対して異常に恐怖心を抱いているために「仕事で失敗をしてしまったとき」や「プライベートでよくないことがあったとき」のような気持ちが弱っているときに、わたしがもっとも恐れていることを夢に見てしまうのではないかという結論に達しました。


高いところや狭いところ、先のとがったものや真っ暗なところなどわたしには怖いものがたくさんありますが、その中でもとくに恐れているのは「自分の行動や発言を忘れてしまうこと」です。人の一生はただ生まれて死んでいくだけであってとくに意味があるとは考えていませんが、でもその一生を過ごすあいだに蓄積した大量の記憶には意味も価値もあると思っています。

そう考えているからこそ記憶がなくなることだけは耐えがたいことだと感じるのです。


この作品は優秀な言語学者が若年性のアルツハイマーによってすべてを忘れていってしまうという物語であり、その過程を丁寧に描いた作品です。この作品が描いている内容はまさにわたしが恐れていた出来事そのものなので観る前はかなりビビっていたのですが、実際に観てみたらたしかに忘れてしまうことはとても怖くて悲しいことだと実感できたのですが、一方で「忘れてしまうことよりも忘れられてしまうことの方が怖いし悲しい」ということもつよく感じました。

忘れてしまう当人が恐れているのは「すべてを忘れてしまう未来」であり、つまりその未来が訪れて実際にすべてを忘れてしまえば「忘れることを恐れていたこと」さえも忘れてしまうのです。「忘れてしまうこと」はたしかに怖いことだけれど、でも生き続けている限り終わることのない「忘れられてしまうことの悲しさ」に比べたらまだマシだなと。


どんどん記憶を失っていく当人よりも、忘れられてしまう周囲の人たちのつらさは筆舌に尽くしがたいほど伝わってきました。

本作の原題は「Still Alice」だそうですが、日に日に記憶を失っていってまるで知らない人のようになっていくアリスという女性に対して、いつまでもアリスのままでいて欲しいという願いが込められているでとても切ない気持ちになりました。


@MOVIX宇都宮で鑑賞

2015年上半期に観たお気に入りの14作品



先日、シーフードグラタンを頼んだらシーフード抜きで出てきて泣きそうになったいとっとです。
しばらくほじりかえしても何も見つからなかったので試しに食べてみたのですがシーフードの味がせず、しょうがないのでお店の人に聞いたら交換してくれました。


2015年上半期は51本の作品を鑑賞しました。

2011年は93本、2012年は91本、2013年は80本で2014年は70本、そして今年は51本という感じで着実に鑑賞本数が減ってきています。映画好きとしてはたいへん寂しい状況ですが、これは映画のほかにもいろいろと興味があるものが増えてしまったがゆえの変化でしてしょうがなくもあります。

映画が唯一無二の趣味だった時代はとうに過ぎ去り、映画は数ある趣味のひとつになっていて観たいといいつつ他の趣味との兼ね合いもあって観ることを諦めることも増えてきました。それでも十分観てる方だろといわれたら返す言葉もないんですが、でももうちょっと映画観たいなと思っています。


さて。

そんなわけで観た本数はさっぱりですが、例年に倣っておもしろかった作品を10本を選ぼうと思ったのですが、いつもであれば「面白かった作品を30本くらい選ぶ」→「15本くらいまで絞る」→「10本に決定」という流れで決定するのですが、今回はおもしろかった作品を抜き出した時点で14本しか残りませんでした。14本だったらあえてそこからしぼる必要もなさそうでしたので今回は14本を紹介します。


順番は見た順番(たぶん)です。おもしろかった順番ではないです。

(1) フランシス・ハ

どこか子どもっぽくてかわいらしくて憎めないフランシスの生態を描いた作品。
この不思議なタイトルの意味はラストシーンで明かされるのですが、その瞬間におとずれる快感にも似たはじけるような喜びがとても心地よいすてきな作品です。おもしろすぎて3回観ました(笑)

(2) あと1センチの恋

大好きなリリー・コリンズ目当てに観に行ってきました。


くっつきそうでくっつかない幼なじみの二人を描いた作品ですが、二人の距離感がとにかく絶妙で観ていてイライラドキドキしました。作中でかかる音楽もすごくステキだったし、淡々とすすむ物語もおもしろかったし、なによりもリリコリがかわいいんですよね。

(3) 6才のボクが、大人になるまで

本作はある少年が6才から18才になるまでを実際の時間経過に合わせて撮った作品、つまり本人の実年齢がその年齢に変化するまで撮影を待ちつつ撮ったというとてもユニークな作品です。「ビフォア・サンライズ」「ビフォア・サンセット」「ビフォア・ミッドナイト」の3作品も似たようなコンセプトで撮った作品ですが、1作品単体でこんなめんどくさいことをしている作品は他には知りません。

そして撮影方法が風変りであるというだけではなく、作品自体の出来もかなりよかったです。


子どもの成長というか変化ってすごい!

(4) 祝宴!シェフ


ストーリーがどうとか主演がかわいいとか演出が凝ってるとかそういうことではなく、ただただおもしろかったです。

それしか言えない!

(5) プリディスティネーション


作品の全容が見えた瞬間に呆然としました(笑)


(6) はじまりのうた

この作品はわたしの大好きな作品「ONCE ダブリンの街角で」の監督であるジョン・カーニー監督の作品なんですが、期待以上によかったです。サントラが欲しくなる楽曲の数々やただくっついてハッピーエンドとはしないあたりが監督らしくてよかったなと思います。

(7) 海にかかる霧


生活に困った漁船の船長が、中国からの不法入国者の手助けをして稼ぎを得ようとしたら大変なことになってしまって...というお話なんですがこれは下手なホラーよりも怖かったです。人間って極限状態になるとなんでもやれるんですね...。

あと霧が出てくる映画はおもしろいというわたしの持論が強化されました。


(8) シンデレラ


誰もが知っているシンデレラという物語をここまで見事に映像化してみせただけでもすごいのに、これがもうほんとおもしろくてびっくりしましたし最初から最後までこの世界観に引き込まれました。


(9) セッション


非常に不愉快なおっさんが出てくる話なので好きかどうかでいうとかなり微妙なのですが、でもこの強烈な内容は他の作品とは一線を画していることはまちがいないし、おもしろかったのも事実ですので「観ることができてよかった」という意味で選びました。


(10) 百日紅


登場人物がとにかく魅力的でしたが、それ以上に幽霊や迷信を誰もがうたがうことなく自然と受け入れている世界がわたしにはあまりに居心地がよく感じられてこの世界観にあっという間に引き込まれてしまいました。


(11) 陽なたのアオシグレ

細かいことを言うと今年初めて劇場公開された作品ではないのですが、アニメーションの可能性をすごく感じたのでどうしても選びたくてチョイスしました。

本作は小学生の男の子が抱いた淡い恋心を描いた作品ですが、内容や描写はやや気恥ずかしくて直視しにくいストーリーでした。なのでお話自体はあまり好みではなかったのですが、後半描かれる「あるシーン」があまりによくてまるで胸ぐらをつかまれてビンタされたようなショックを受けました。

アニメーションという手法の可能性というと大げさかも知れませんが、音楽と映像のもつ力をひさしぶりに体感して本気で感動しました。


(12) 海街diary

何も特別なことのない日常こそが一生忘れられない日であり、自らが生を終えるその瞬間に思い浮かべる一日なんじゃないかなと思いました。観ているときも観終えてからも多幸感でいっぱいでした。


(13) マッドマックス 怒りのデス・ロード

過去の作品全部未見で観に行ったのですが、もうぜんぜん問題なかったですね。
迫力ある映像と観る者を強力に惹きつけて止まないストーリー、そして魅力的な登場人物などなど、終始圧倒されるすばらしい傑作でした。捕まったマックスが逃げようとする冒頭で一気に作品の世界に引き込まれ、最後までずっぷりとはまってしまいました。この作品を「すごい」という言葉でしか形容できない自分の語彙の少なさをこんなに悲しいと感じたことはありません。

あとひさびさの3Dでしたが、作品の世界に没入できてすごいよかったです。

(14) アリスのままで


本作は著名な大学教授として世界中をとびまわって働いていたアリスが、若年性のアルツハイマーをわずらい、じょじょに記憶を失っていく様子を描いた作品ですが怖かったです。記憶を失っていくことの怖さと悲しさに胸がつぶれそうになりました。

わたしは幼いころから短期記憶が異常に悪いのですが、もしかしたら自分もこんな病気になるんじゃないかと思うといてもたってもいられなくなるほどリアリティを感じました。


まとめ


上記の作品にあえて順番は付けませんが、邦画は「海街diary」、洋画は「シンデレラ」が一番好きです。


さて。上半期はなんだかんだと映画館に行けましたが、これからの半年はランニングと仕事でちょっと忙しくなりそうなので映画館とはさらに縁遠くなりそうです。このペースだと今年は100本観れないかも知れないし、そうなったらいよいよ映画とは距離を置くことになりそうです。

とは言え、最近ヒカリ座がとてもおもしろそうな単館系作品をばんばん上映してくれているのでそれだけでも観に行けるよう努力したいです。こんな作品が宇都宮で観られるなんて!っていう作品ばかりなんですよね。ほんとありがたいです。


そんなわけで話がそれてしまいましたが、下半期もがんばって時間を作って映画館に足を運びたいと思います(おしまい)



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