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うた魂♪


函館・七浜高校合唱部のソプラノリーダー、萩野かすみ(夏帆)は自分の歌声とルックスに過剰なまでの自信を持つ女の子。ある日、写真好きのイケメン生徒会長・牧村純一(石黒英雄)に自分の歌っている姿を撮りたいと言われ、有頂天になっていた。しかし、出来上がった写真を見ると、そこには無様な表情で歌う自分の姿が写っており、かすみはすっかり自信を喪失。そこに現れたのが、番長・権藤洋(ゴリ)率いる湯の川学院高校のヤンキー合唱団。合唱祭で熱く歌う彼らの姿に感激したかすみは、やがて忘れかけていた歌への思いに気づき…。

うた魂(たま)♪ 映画作品情報 - シネマカフェ

MOVIX宇都宮にて。田中誠監督の新作。
ささいな出来事をきっかけに歌うことが嫌になってしまった一人の少女が、自身の考えの間違いと歌うことの本当の素晴らしさに気付いていく物語。
今年観た中ではもちろん、今まで観た邦画の中でもかなり上位に食い込みそうなくらい面白い作品でした。特に湯の川学院が「15の夜」を歌うシーンは予想していたよりもよくて、気付いたらボロボロと涙が出てしまっていました。いくら涙腺が弱くなっているとは言え、あんなに自然に泣いてしまったのは初めてでした。予告で観てたのであのシーンがあることは分かっていたのにこれだけの破壊力。
とんでもない作品に出会ってしまいました。


この作品を観た人のうち、男限定で「この作品のみどころは?」と聞いたら、10人のうち8人は夏帆が「アイアムフルチン」と叫ぶシーンと答えると断言できます。一体何回彼女にフルチンと言わせれば気が済むのかというくらい何度も何度も叫ばせているのですが、これがもうたまりません。あんな大人しそうな子に、大きな声で恥ずかしい言葉を連呼させるなんてそうそうできるものではありません。
こんなすばらしいシーンを撮った田中監督とはいい酒が呑めそうです。


そういえば、かすみが合唱部に復帰して譜めくりを担当するようになってからのくだりは最近どこかで見たような気がしたので、どこで見たのか思い出してみたのですが、このマンガで見たのでした。*1

風が強く吹いている 1 (ヤングジャンプコミックス)

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この作品の主人公の蔵原走(カケル)は高校インターハイ優勝経験もある才能あふれる長距離ランナーなのですが、ある事件のせいで大学への推薦を取り消されてしまいます。その後、新しく入った大学にある駅伝部に入り箱根を目指す事になるのですが、そこでカケルはタイムが全く伸びずに悩むことになります。その不調の原因を、カケルは自身ではなく外的要因に押し込めてしまいますが、その事を部長のハイジに指摘され責められるシーンがあります。


同様にかすみも自分自身にしか興味がなくて周囲が見えていませんでした。周囲に迷惑をかけた罰として、ソプラノリーダーからはずされて譜めくりを命じられて歌うことから離れたおかげで、合唱するメンバー全員に目を配ることができるようになったのです。おかげで、自身だけを最適化するのではなく全体を最適化することを考える余裕が出来て合唱部全体としても、かすみ自身としても成長を遂げるきっかけが出来たわけです。


この作品では、かすみの成長を人間の成長の好例としてとても面白く描いており、そこがこの作品の一番のみりょくではないかと感じました。


重ねて書きますがほんとうに楽しい作品でしたし、これだけ心を揺さぶられる作品は年に1本あるかないかというくらい完成度の高い作品でした。
それと、夏帆さんは「天然コケッコー」で田舎に住む中学生の純朴さを好演してさまざまな映画祭や映画賞で新人賞を受賞しましたが、今作はそれとは全く異なる、ちょっと思い込みの激しいおバカな女子高生をとてもうまく演じていました。彼女がコメディエンヌとして見せた表情もすごくよかったですし、どちらかというとこちらの方が似合っているんじゃないかと思います。


ぜひもう一度観に行きたいです。


公式サイトはこちら


[追記]
YouTubeに予告動画が上がっていたのでリンクを貼っておきます。



予告だけでもかなり面白そうですが、上に書いたとおり本編はもっともっと面白いです。

*1:マンガの原作になっている本の方が有名なのですが未読です