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「ケンタとジュンとカヨちゃんの国」見たよ


孤児院で兄弟のように育ったケンタ(松田翔太)とジュン(高良健吾)。2人が中卒で得た解体現場の仕事は、電動ブレーカーでひたすら壁を壊す“はつり”の仕事だった。安い賃金に過酷な労働、そして陰惨ないじめ…。行き場のない苛立ちを積もらせる2人はある日、ひとつの決断をする。それは“見えない壁”をぶっ壊して兄貴のいる北へ向かうこと。かすかな希望を携えて、ケンタとジュンの鮮烈な旅が始まる─―。

ケンタとジュンとカヨちゃんの国 映画作品情報 - シネマカフェ

MOVIX宇都宮にて。
いやいやいや。これすごい作品でした...。とりあえず会社を午後から休んでまで観に行った甲斐はあったと思いますが、特に人間が成長する上で周囲や環境があたえるインパクトがいかに大きいのかということを身に染みて感じました。自らの生き方を選べることは決して当たり前のことではないということを我がことのように実感できる強烈な作品でした。ホントすごい。。。


本作は中卒で過酷な肉体労働に従事しているケンタとジュンが、日常から逃げてケンタの兄のいる網走刑務所まで旅をするというロードムービーです。わたしは基本、ロードームービーが大好きなのですが、結末だけではなく終始こんなにいたたまれない気持ちにさせられる作品は初めてでした。過酷な環境から逃げて自由を謳歌しようとするケンタとジュンですが、自分たちを取り巻く環境だけでなく自身に内在する過去のトラウマからも常に抑圧されていることを思い知らされるはめになるのです。


その中でも一番印象的なのがジュンが飲み屋で知り合ったゆみか(多部未華子)とお昼ごはんを食べてるシーンでのやりとり。
ご飯を食べながら自身の人生設計を無邪気に語るゆみかを、まるで未知の生物を見るような目でながめるジュンの目が非常に記憶に残りました。これまでの20年間、ジュンの歩んできた人生はいつも自分の目の前にある道をただただ歩いただけで、それ以外の道の中から自らの意思でどれかを選び取って歩むなんてことは一度も考えたことも無かったのです。だからこそ、そういうことを平気で言える人間を見て驚き、ものすごいショックを受けるのです。


わたしはゆみかと同じく、自分のことは自分で決められると信じてきたし、もちろん何度も変更はあったものの自分が選んだ結果が今の人生を作っているんだと思っています。なので、結果としてどうなるかはともかくとして人生を選ぼうとすること自体を放棄しているジュンの考えというのはひどく衝撃的でしたし、幼い頃からもがき続けてそれが徒労に終わったことの積み重ねの結果がこれだとすれば、これは本当に怖いことだと身震いしてしまいます。
まさに学習性無力感というものに該当するのだと思うのですが、それがひとつひとつのことに対してだけではなく、人生そのものに適応された結果がまさにジュンやケンタであり、本当に怖かったです*1


そこらへんのホラー映画よりも怖くて終わったら逃げるように劇場をあとにしました。
誰にとっても他人事ではない恐怖がこの作品にはあります。

公式サイトはこちら

*1:しかもそれを決定付けたのが網走にいるケンタのお兄ちゃんなのですが、これはすごいインパクトでした。