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「マイ・ブラザー」見たよ


サム(トビー・マグワイア)は美しい妻・グレース(ナタリー・ポートマン)と2人のかわいい娘に囲まれて幸せな日々を送っていた。一方、サムの弟・トミー(ジェイク・ギレンホール)は服役から出所してきたばかり。そんなある日、サムは戦渦のアフガニスタンへ派兵され、間もなくグレースの元に訃報が届く。悲しみに暮れるグレースとそれを支えるトミー。2人の距離は急速に縮まっていく。そんな中、突如サムが生還を果たす。実は彼は生きていたのだ。しかし、温かい家庭に帰ってきたはずのサムはすっかり別人のように変わっていた――。

マイ・ブラザー (2009) 映画作品情報 - シネマカフェ

MOVIX宇都宮にて。
男兄弟の確執を描いた作品と言われて最初に頭に思い浮かんでくるのは西川美和監督の「ゆれる」という作品です。公開当時はずいぶんと話題になったので覚えている方も多いかと思います。


ゆれる [DVD]

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ひたすらに自信の欲望を抑えて周囲の期待にこたえて生きてきた兄と、しがらみにとらわれることなく奔放に生きてきた弟の確執をものの見事に描いた作品であり、男兄弟のいる(わたしには弟がいます)わたしにとっては身につまされるシーンの多い作品でした。わたしは長男なのでどうしても兄視点で観てしまうのですが、何にも制限されず自由に振る舞ってストレスなく生きているというだけでも嫉妬してしまいそうになるのに、さらには兄が欲しいと願うものまで易々と奪われてしまうと余計に弟という存在におびえてしまうし、その気持ちはよく理解できます。
あ。もちろんわたしが実際にそうされたというわけではなくて、「男兄弟の場合はそういった関係性になりやすい」ということを感覚的に受容できるというだけです。


本作はタイトルのとおり兄弟をテーマに据えて描かれる物語ですが、「ゆれる」と同じく真面目な兄と奔放に生きる弟という立ち位置になっていることにおどろかされました。そもそも「ゆれる」で描かれていたような兄弟関係、兄と弟の違いっていうのは日本の家長制度に起因するものだと思っていたので日本独特なものとして考えていたのですが、そんな単純なものではなかったようです。


常に周囲への気配りを忘れず、強くて家族に誇られるような人でありたいと振る舞う兄サムと、欲望の赴くままに周囲を傷つけてもお構いなしの無法者野郎の弟トミー。わたしはお兄ちゃん視点で観ているのでサムの視点で考えると、壊れる前のままの関係であり続けることが一番幸せだったはずなのに、誤解とは言え、サム以外の全員が「サムの死」という出来事を悲しみ、そしてそれを乗り越えてしまったことですべてが一変してしまったことに言葉を失うほどの衝撃を受けるのです。そしてサムの死によって再生するトミーの生活。
これはきつい...。


観終わって、「これはいったい何の物語だったのか?」とずっと考えていました。
戦争の悲惨さ、残酷さを描いたのか?というのが最初に思い浮かんだのですが、観ながら感じた感情を整理してみるとそうは思えませんでした。これからもずっと続くと思われた平凡な日常の中にも、過酷な落とし穴が口をあけているのだということ、そしてそのことに対する警告がこの作品から感じた主張です。
いまこの時点でどれだけ決定的と思えるような立場の違いがあったとしても、人生においてはそんなのはあっという間にひっくりかえってしまうものだということであり、それを「男兄弟」というネタでまとめたのがこの作品だとわたしは感じました。ホント怖い作品です。


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