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「苦役列車」見たよ

1987年。中卒の19歳、北町貫多は日当5,500円の日雇い労働にすがってその日暮らしをしている。港湾労働で知り合った専門学生・日下部正二に友情めいた感情が芽生えるが、将来の選択肢が豊富な彼に嫉妬を抱くようになり、さらに好意を寄せる古本屋店員・桜井康子にも拒絶されてしまう。誰にも相手にされず、酒と風俗に溺れ一人取り残された貫多。その頃、唯一人生で興味を持ち始めた作家の作品を片手に、筆を執り始めたのだった――。

苦役列車 映画作品情報 - シネマカフェ

MOVIX宇都宮で観てきました。


昨年芥川賞を受賞した際にその独特過ぎるキャラクターが話題になった西村賢太さんの自伝ということで、期待半分怖いモノ見たさ半分で観に行ってきましたが、思いのほかよかったです。

「社会不適合者を遠くから眺めて楽しむ」と書くとたいへん失礼極まりない感じになりますが、"そばにいたら嫌だけど遠くから見ている分におもしろい人"というのがこの世にはいまして、まさにそんな人を観て楽しむという作品でした。
これまた言い方は悪いのですが、要は動物園と同じで「直接対峙すると危険な相手を檻に入れて隔離した状態(==自分に影響のない距離)に置いて楽しむ」作品でした。


本作一番の見どころは森山君演じる貫多のダメっぷりだと思いますが、これがまたほんとひどいんですよ。
家賃を滞納しても悪びれるでもなく飲み歩いたあげく、風俗に行ったり、いよいよ困ったとなると友だちのところに転がりこもうとしたりお金をせびる始末。そんなふうに他人に図々しく振る舞うくせに、好きな人には自分で声もかけられないスモールハートっぷりもまた何ていうか腹が立つんですよね。


こんなふうにまったく悪びれもせずに他人に迷惑をかけてのうのうと生きている人をみると、すごくイライラする反面、実はとてもうらやましいなと思うわけです。だって絶対自分だったらこういう生き方出来ないもんなあ...。


そしてすごく不思議なのは、始まって早々は貫多のクズっぷりに心底イライラしてしまったのですが、物語が進めば進むほど貫多の近視眼的なキャラクターがおもしろく見えてきたり、彼の人となりにわずかなりとも共感をおぼえるところを見つけてしまったのです。


好きな子とどう接していいのか分からなくて挙動不審になっているところや、いざ好きな人に付き合っている人がいると知ると友だちと言う関係を破棄してすべてを壊そうとしてしまうところなんかはもう分かるなーと思っちゃいました。


ストーリー自体は特に観るところもないというか、本当にダラダラとした日常が続いていくだけなのですが、描かれるのが日常だからこそ、そのダメさ加減がどうにもならないくらいに根付いたものであることが強調されていると感じました。


おもしろかったかどうかと聞かれるとむずかしいのですが、好きかどうかと聞かれたら迷いなく好きと答えられるそんな作品でした。


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