映画館へ行こう

映画館で映画を観るのが大好きです

「終の信託」見たよ


折井綾乃(草刈民代)は、患者からの評判も良い、呼吸器内科のエリート医師。しかし、長い間、不倫関係にあった同僚医師の高井(浅野忠信)に捨てられ、失意のあまり自殺未遂騒動を起こしてしまう。そんな綾乃の心の傷を癒したのは重度の喘息を患い入退院を繰り返していた江木秦三(役所広司)の優しさだった。綾乃と江木は心の内を語りあい、医師と患者の枠を超えた深い絆で結ばれる。しかし、江木の病状は悪化していき、自分の死期が迫っていることを自覚した江木は綾乃に懇願する――。

終の信託 映画作品情報 - シネマカフェ

MOVIX宇都宮で観てきました。


それでもボクはやってない」では日本の刑事裁判がいかにおかしいのかというところにライトを当てていましたが*1、今作では日本の司法(検察)制度の問題もひとつのテーマとして扱っていて、いままでくわしくは知らなかった制度の問題をとてもおもしろいと感じました。

周防監督はこういう社会制度の問題を見つけてつつくのがお好きなんでしょうか。


本作における死に瀕した人間の姿の描き方や、その死を目の前に横たえた人の思考がひしひしと伝わってくる演出はすごいなと思ったし、実際にこの作品をみながら自分はいったいどのような末路をたどるのだろうかと不安をおぼえるほど死を身近に感じました。病人としてふるまう役所さんの演技や演出はすごかったですよ...。苦しそうに悶える表情とか、送管されるところとか死の瞬間の表情とかもう見ていてぶるぶると震えましたよ。

さらに尊厳死のあり方に関する問題については、たしかにこれでいいのか?と思う部分もあってそのことに興味をもつきっかけとなりました。


ただし、それでも作品全体の感想としては惹かれる部分がほとんどなかったですし、演出を極力おさえて事実は事実としてありのまま提示しようとしていたような気がしたけれど、それだったらドキュメンタリーにした方がよかったんじゃないのかなという気がしたんですよね。もちろんそれがむずかしいというのは分かりますが、それにしてもあまりに味気ないんですよね。


別に感動的な話にして欲しいということではなく、事実を事実として見せたいのであればそういうフォーマットを選んだ方がいいと思うし、そうじゃない以上は意図を伝える演出をもっと盛り込んでもよかったんじゃないかなと感じたのです。好きなシーンもあるし、言いたいことそのものについては異論はないのですが、もうちょっと情感を煽るようなところがあってもいいんじゃないかなと思いました。


全体をとおしてあまりに淡々とし過ぎていておもしろ味に欠けているというのが率直な感想でした。


それと個人的には江木さんの行動にも個人的には不満をおぼえたんですよね....。
彼の行動や発言はどれも家族のためだと思ってのものなんでしょうが、結局は家族にとっても折井先生にとっても一番迷惑なことになっているし、苦しめることになっちゃってるんですよね。本人に悪気があったとは思えませんが、悪意がないからと言って許されるレベルのことでもなくて、「せめて家族には一言折井先生にぜんぶお願いしたって言っておけよ...」と思わずにはいられませんでした。

ノートの後ろにちょこっと書いていたって、そんなの誰からも気付かれないかも知れなかったじゃんと思うと、その思いの至らなさというかもうちょっと残された人のこと考えてよと思わずにはいられなかったんですよね。かれが悪い人じゃないのは伝わってきたのですが、その悪意の無さゆえによけいにいたたまれない気分になりました。
せめて悪意からそうしたのであれば、責めることもできるのですがそうじゃないんだもんなあ。


あと折井先生の不倫体質にもいまいち共感をおぼえないというか、もちろん好きになっちゃったらしょうがないっていうのは分かるんですが、でも毎度妻子ありの人を好きになるのはさすがにどうなのよと。こちらも江木さんと同じく悪い人じゃないしすごくまっすぐな人だというのは分かるからこそ、だからこそためいきをつくくらいしかできなくて嫌になるんですよね。


こんな共感できない二人がたどった末路だと思ったらわりとどうでもいい話だったなあなんて思ってしまいました。


公式サイトはこちら

*1:実は観てなくてあらすじだけ知ってます