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「夢売るふたり」見たよ


東京の片隅で小料理屋を営んでいた夫婦。だが火災で全てを失ってしまった。自分たちの店という夢を諦めきれない2人は、再出発の手段として“結婚詐欺”を働きかける。まっとうではないと分かりながらも、やり直すためには金が必要。それでも嘘に嘘を重ね続ける夫婦。やがて夫婦の運命は徐々に歯車が狂いだして…。

夢売るふたり 映画作品情報 - シネマカフェ

MOVIX宇都宮で観てきました。


経営していた飲食店を失火で失った夫婦が結婚詐欺をしてだましとったお金で新しいお店を立てて再起をしようとするというちょっと変わったお話でしたが、これすごくよかったです。ストーリー自体はすごくユニークなのですが、自らの不注意で店を失ってしまった負い目から自虐的に妻にあたってしまう夫の弱さや、想定外のできごとに浮かれてあっさりと浮気がばれてしまうわきの甘い夫のしぐさ、浮気されたことへの憤りをうまく相手にぶつけられず屈折した形での仕返ししかできない妻など、ストーリーを動かす妻も夫も、そしてそんな二人にだまされる女性もだれもがすごく人間くさくて共感をおぼえちゃったんですよね。

そんなシンパシーをおぼえる人たちが織りなす人間関係がまたすごくよくて、男女関係のめんどくささみたいなものを取り繕うことなくごろりと提示していたのがおもしろかったなと。浮気されたりお金をとられたりと本作にはさまざまな形でだまされる女性が出てくるのですが、その人たちの反応が人それぞれさまざまなんですが、どれもすごくリアリティがあるところがとても好きだなと感じました。


そしてもうひとつすごくよかったなと思ったのは、ところどころに観ている人が客観的な視点をもつような工夫がされていたことです。

この二人がしていた「夫婦で結婚詐欺をする」という行為は冷静に考えればすごくおかしなことだし、とてもまともとは思えません。ところが、ずっとこの二人のことだけを観ているといつの間にかそれがおかしなことに思えなくなってきてしまうのです。人間は環境に慣れる生き物ですから、それがどんな異常な状況であっても同じ状態を観続けているといつの間にかそれに適応してしまうようです。


ところが本作はそんなふうにこの作品で起こっている出来事に慣れそうになると、そのたびに水をさすようなシーンが差し込まれます。

たとえば、二人でテレビを見ていると父母がそろって子どもを虐待して殺してしまったというニュースが流れるシーンがあるのですが、テレビの情報から父母がそろいもそろって子どもが死ぬまで虐待しれ続けていたという異常な状況を知り「夫婦二人でいたのになんでどっちも止められなかったのか」ということをしれっと口にするのです。


「子どもを虐待して殺したこと」と「結婚詐欺」という罪状の違いはあれど、夫婦そろって犯罪を犯しているのにその異常性をどちらも指摘できなかったというのは自分たちも同じはずです。ところが自身たちにはその批判の矛先が向かうことはなく、他者を非難するときだけその論理が展開されるというのはとても真っ当とは思えないし、思えないからこそこの二人が行っていることがいかに異常なのかということが常に感じられたわけです。


そういったシーンがあったことで、観ている自分もそのたびに冷静になれたしそのおかげですごく冷静に作品と向き合うことができました。


あとすごく好きなシーンがひとつあって、それは浮気がばれたことで気まずくなった夫がお風呂に逃げ込んで湯船につかっていたらそこに妻が乱入してきて夫を言葉少なに責めたてるというところです。妻が浮気したことを真剣に怒っているのはわかるしその怒りは痛いほど伝わってくるのですが、だからこそその妻の行動や表情のひとつひとつがやたらおかしく感じられてつい笑っちゃうんですよね。不謹慎とはわかっていても笑わずにはいられないのです。


昔、中学生くらいのときに授業中の態度がよくないとか規律を守らないという理由で先生がものすごい剣幕で怒るときがあったのですが、先生はすごく本気で腹を立てて怒っているのですがその本気さがかえっておかしくてつい笑っちゃうことがありました。好きなシーンとして上で挙げたシーンの笑いどころもこの感覚とすごく似ていて、笑っちゃいけないくらい相手が本気で怒っているそのさまがおかしくて笑ってしまうという感じでした。
# うまく説明できないなあ

あのシーンだけ何度も見返したいくらいすごく大好きだし、自分の浮気がばれたときはぜひあんなふうに怒られたいと思いました(ウソ)。



あとは個人的にすごい好みの女性がキャストに多かったのですが、とりわけ木村多江さんがすごくすてきでした。

仕事についてあれこれ聞いて欲しいとお願いをすると、戸惑った表情ながらも笑顔で接してくれるところがすごく可憐でした。2秒で惚れた!

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